「美容室に行きたくても行けない」 アレルギーと化学物質過敏症
前回までは、美容室の中でも特に多いヘアカラーでの美容事故について書かせて頂きました。
今回は、美容室に行きたくても行けない人がいる!を書かせて頂きます。
「化学物質過敏症」
なかなか耳にする事が少なく、認知度が低い為に悩む方も多い症状です。
*2009年10月1日厚生労働省は化学物質過敏症を認められました。
病名をICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の中毒の項(T65.9 ) ICD10分類 > S00-T98 損傷,中毒及びその他の外因の影響 > T51-T65 薬用を主としない物質の毒作用 > T65 その他及び詳細不明の物質の毒作用 > T65.9 その他及び詳細不明の物質の毒作用,詳細不明の物質の毒作用 に分類し登録した。
私自身は化学物質過敏症を20年以上前に発症し、開業した17年前に比べナチュレでも化学物質過敏症に困るお客様が増えて参りました。
化学物質過敏症とアレルギー症とは、同じ点と異なる点があります。
なかなか理解し難いと思いますが、以下の説明をご参考下さい。
化学物質過敏症の研究では国内で権威のある北里大学医学部の石川教授と宮田教授らの見解や研究をもとに、日本化学工業協会の研究グループが、1997年2月にまとめた報告書から抜粋させて頂きました。
化学物質過敏症について、北里大学医学部の石川教授、宮田教授らは、以下のように定義されています。
「特定の化学物質に接触し続けていると、後にわずかなその化学物質に接触するだけで、頭痛などの症状が発症する状態が化学物質過敏症。」
またその原因としては、「過去に多量の化学物質に曝露されたことで、体の耐性限界を越えてしまったこと。ただ原因となる物質は、特定の物質ではなく、全ての化学物質が原因となる可能性を有している。」としています。
さらに、化学物質過敏症を発症した人が、その後異なる多種類の化学物質によっても発症することを「多発性化学物質過敏症」とも言われています。
化学物質過敏症とアレルギー症について
- 同じ点(⋆中毒とは異なる点)
- ある程度の量の化学物質に曝露されて、一旦過敏性を獲得する(感作)と、その後極めて微量の化学物質に曝露されることで発症する(発作)。つまり、感作と発作という2段階によって発症します。
- 発作の段階では、中毒を起こすよりもずっと少ない量の曝露によって発症します。
- 同じように曝露されても発症する人と、発症しない人がいます。しかもその個人差が大きいです。
- 異なる点
- アレルギー症は、免疫反応によるものですが、化学物質過敏症は、自律神経系への作用が中心で、他にも免疫系や内分泌系が関係しているといわれています。
- アレルギー症では、発症する特定の物質と症状は一定ですが、化学物質過敏症では、人によって発症する物質と症状が異なります。例えばアレルギー症では、スギ花粉によってアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎などの気道系や眼科系の症状がでますが、発汗異常などの自律神経系症状はでません。化学物質過敏症では、人によって下に挙げたような様々な症状がでます。また、その原因となる化学物質は、確認されているだけでも数十種類あり、非常に多岐にわたっています。
- 化学物質過敏症では、化学物質に曝露されていると体が適用することがあります。逆に曝露が中断されると離脱症状が現れることがあります。
- 化学物質過敏症では、物理的な刺激や精神的なストレスがあると発症しやすい。
*中毒(ちゅうどく)とは、「毒に(あた)る」の意味であり、生体に対して毒性を持つ物質が許容量を超えて体内に取り込まれることにより、生体の正常な機能が阻害されることである。
「化学物質過敏症の症状」
- 発汗異常、手足の冷えなどの自律神経系症状
- 不眠、不安、うつ状態などの精神症状
- 運動障害、知覚異常などの末梢神経系症状
- のどの痛み、乾きなどの気道系症状
- 下痢、便秘、悪心などの消化器系症状
- 結膜の刺激症状などの眼科系症状
- 心悸亢進などの循環器系症状
- 皮膚炎、喘息、自己免疫疾患などの免疫系症状
わかりにくいと思われますが、化学物質過敏症は解釈について様々な議論があり、未解明な部分が多いのが現状です。
認知度も低く、なかなか症状について理解してもらえない事も多く、その事による悩みが最も辛いと言われるお客様も少なくありません。
社会の中に化学物質過敏症という症状に苦しむ人々がいると言う事を広く知ってい頂ければと思います。